〔クイクイルコ〕Part 2…シトレXitle火山の溶岩流

　シトレ火山は瞬間的な大噴火を起こしたのではなく、紀元前100年頃から溶岩を少しずつ流し出すような継続的な噴火だったようです。大集落は壊滅的な被害を受けず、噴火を気にしながらの営みが続いていました。

　↑at クイクイルコ博物館。

　西暦200年の〔火の老神〕です。〔クイクイルコ〕が〔火の老神〕の発祥の地とする説もあります。シトレ火山に静まってほしいという祈りの表れでしょう。

　しかし、西暦275年頃、大量の溶岩流が発生し、〔クイクイルコ〕のほぼ全域を覆い尽くしたようです。

　観光客は、円形ピラミッドの東側の、建築物Elという小さな祭壇まで歩いていけます。そこへの小道の途中、人工的に切り通した溶岩の厚さが見てとれます。とても人力では除去できそうにありません。

　↑建築物El。↑溶岩の層。

　住民は移住せざるを得ません。20,000人全員がそうだったとは言えませんが、多くがテオティワカンを選んだらしい、と言われています。

　一方、中央高原北西部の、噴火被害のない地域からの住民の流入を指摘する書物もあります。自分たちの故郷より、何らかの魅力を備え始めた都市での新たな人生が選ばれた、と解説しています。

　近隣集合住宅での人の出入りや営みを想像すると、ほぼ全メキシコ中から人々が強制的にではなく、集まりそして去って入れ替わりをしていたのなら、彼らは「テオティワカンで日々を営む価値がある」と判断したからだと、私には感じられます。