〔サーラ〕Xalla

　とても広い敷地です。サーラの区画だろうと判定されているエリアだけで、南北314m、東西443mです。〔月のピラミッド〕＋〔月の広場〕、〔太陽のピラミッド〕、〔城砦〕、〔グレート・コンパウンド〕に匹敵します。〔死者の通り〕に面していませんが、〔月の広場〕に直結する幅5m×長さ130mの土手道があります。

　不審者の侵入を、二重の外壁で防いでいます。テオティワカンで唯一の二重壁で、幅3mの間を警備兵／戦士が巡回できます。

　↑at 文化博物館。

　発掘報告書によれば、最も頑丈な（つまり高い）建築物は1〜4で、祭壇を中央に置く中庭を囲み、四神殿構造となっています。次に頑丈な建築物が16、17、18、22で、祭壇のない中庭4とで、中規模の四神殿構造です。

　建物4の地下に、オアハカ産の37kgの雲母が隠されていました。雲母を粉々にして塗料に混ぜると鮮やかさが増します。西暦350年以降、テオティワカン中で赤の外壁内壁塗装が好まれましたので、大きな商いが継続したことでしょう。他に、〔ヴァイキング・グループ〕で35kgの雲母の塊が見つかっています。

　建物3の粉砕されて発見されたオルメカ風の大きなフィギュア、ジャガーらしき意匠の背もたれと肘掛けなどが、拾われました。砕けた遺物や建物に、西暦550年の焼け焦げが認められました。

　二重外壁の内部には宗教施設と複数の工房、8つの中庭が特定されているだけで、〔サーラ〕に属する高官たちや戦士、職人、多少の農民などの住居の余地はなさそうです。

　下のジオラマを見ますと、方形の板状のものは、外壁の基礎だけが見つかっている建築物なのでしょう。〔サーラ〕の東に多数配置されている建築物の幾つかが、そこへ属する人たちの住居あるいは集合住宅かもしれません。

　↑at 文化博物館。

　Google Mapで見ると、ほぼ埋め戻しされているようです。

　↑at Google Map。

　観光客は立ち入りできず、博物館にも遺物の展示が見当たりません。よって、写真はありません。しかし、上記を俯瞰すれば、〔サーラ〕は特別な区画だったと推測できます。

　見学はできませんでしたが、〔サーラ〕を後にして、北東の〔テチナンティトラ〕を訪れましょう。