〔Zone-3, 4, 5a〕

　発掘調査上の区分として3区画に分けられています。調査後、愛称が振られなかったのは、立派な建築物であるにもかかわらず、目立った壁画や遺物が少なかったからでしょうか。Zoneというそっけない呼称のみです。

　Zone-3

　広い列柱、厚いタルー・タブレロ基壇、幅広の階段があります。後ろ側（東面）はどうなっているのでしょうか。

　衛星写真とジオラマを見ますと、神殿が一列に並んでいるだけで、司祭や助手、住民の建物はなかったのかな、と感じます。いや、おそらく、詳細な発掘は先送りにされているだけなのでしょう。

　↑on Google Map。

　↑at 文化博物館。

　Zone-4…ピューマの壁画Puma mural

　現代のひさしの下に、〔ピューマの壁画〕があります。

　観光客は〔死者の通り〕から、店舗のショー・ウインドウを覗くように見学します。しかしおそらく、当時は建物の中に入らなければ見れなかったと思われます。

　メソアメリカでは、神殿に神殿を被せて新しく大きくする習慣があります。他の壁との位置どりは、〔ピューマの壁画〕は最終段階の神殿が更新される際に埋納されたようにも感じられます。となると、左右の壁を剥ぎ取れば、同じ壁画が何枚も現れるような気がします。

　これを「ジャガーの壁画」と記した案内書もあります。体型は似ていますが、斑点がなければピューマでしょう。なお、どちらも、テオティワカンには棲息していません。

　背景の斜め縦のストライプは、水流です。下部の横長の赤い帯には太丸が並んでいます。〔トラロック神〕の意匠でしょう。

　Zone-5a

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、部屋12、壁）。

　〔トラロック〕の目をした蝶です。鼻の辺りから5筋の水滴が垂れています。口から、「上向きの手の甲」が出ています。

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、部屋13）。

　3つ並んでいるのは山です。内部は奥まっているように見え、洞窟かもしれず、そこに金星が配されています。枠は水流です。

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、部屋13）。

　尾を立てて、翼を広げて下降してきた鳥の神でしょうか。翼には鶏みたいな鳥が8羽描かれ、他にも蝶やサギや何かを咥えている鳥がいます。上は樹木の枝で、蕾らしき膨らみから雫が垂れています。

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、部屋18）。

　少なくとも3つの水流です。細かく鋭い波と、大きくゆったりした波です。横にも水流が交差し、その右端には「眼」が描かれています。

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、部屋18）。

　中央の図柄は二枚貝でしょうか。それを、蛇行する細い水流が取り巻いています。「下向き手の甲」も見えます。下は、上の写真と同じデザインの、同室内の、別の壁画です。

　↑a t壁画博物館（Zone-5a、部屋18）。

　左端の水流の拡大図です。水の中を、不思議な生物が泳いでいます。

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、中庭17）。

　正面を向いた鳥が、体の前に丸い盾を構えているように見えます。

　↑at 壁画博物館（Zone-5a、中庭19）。

　横向きの顔はよく残っていませんが、サンダル上部の3本鍵爪から、鳥に変身した司祭と想像されます。手にした黒曜石のナイフの先に心臓らしき塊があり、血が滴っています。