〔テティトゥラ〕Tetitla

　2023年の私の訪問日、扉は閉じていました。人の気配は皆無。ですので、遺跡をぐるっと回ってみました。

　↑on Google Map。

　2024年、扉は開いていました。係の人曰く、「今日は俺一人でこことアテテルコを担当している。遺跡事務所は150人雇っているが、手が回らない。ここを見たら、アテテルコに案内しよう」。ああ、幸運。

　なお、〔テパンティトラ〕と〔テティトゥラ〕、〔アテテルコ〕は遺跡公園の外にありますが、入場料は遺跡公園のチケット代金に含まれています。チケットを係の人へ見せれば、無料で入れます。

　見取り図の西面の「観光客出入り口」を入った写真です。

壁画002…血／水をもたらす両手

　↑↑at 壁画博物館。↑at〔ジャガーの神殿〕。

　血液あるいは水をもたらす両手、でしょうか。両手の間には、〔トラロック神〕によく見られる「三本の口髭／牙」でしょう。両手は、右の〔ジャガーの神殿〕のネット・ジャガー壁画のそれにそっくりです。

陶器001…戦士による生贄…西暦450年〜550年

　↑↑at 人類学博物館。

　一個の三脚陶器を両面から撮っています。〔トラロック神〕に扮した戦士が、心臓に黒曜石ナイフを刺し、血を流させているようです。

壁画003…槍を握る〔トラロック神〕

　↑↑at テティトゥラ。

　耳飾り、ゴーグルと二本の牙と三本の歯が見えます。〔トラロック神〕です。右手あるいは右触手が槍を握っているように見えます。

　中央の横長の水槽の向こう側の壁画を見ましょう。

壁画004…金星と水？

　意匠は、星形をしているので、金星でしょうか。水槽に接しているので、金星と水の関係の概念化です。

壁画005…法螺貝に止まる鳥

　鳥が法螺貝に乗っています。法螺貝にはマウスピースが着いており、音を発しています。その絵が向かい合っています。

　壁画004と005を左に見ながら、歩いていきます。現在は見通しが効きます。が、当時は壁に囲まれ、おそらく木造の天井／屋根がありましたから、全ての壁画はその部屋に入らないと見られませんでした。

壁画006…心臓と声

　おそらく2つの心臓からの5つの血の滴りと、2つの声／音の組み合わせが連続しています。その下、床との間に何かが描かれていたとしても、見てとれません。

　隣の部屋も同様の装飾です。

　その奥の部屋には、別の壁画があります。

壁画007…妊娠中の雌ジャガー

　戸口の向こうに見えます。

　　　

　ジャガーの斑点に、金星などの意匠を散りばめています。立った尾のシェイプは黒曜石ナイフに似ています。

　4神殿構造の中庭があります。中央に祭壇や水槽はありません。奥の壁画は壁画006です。

　次の部屋へ行きましょう。

壁画008…炎の穴と神殿？

　右の奥の壁画を拡大します。

　よくわかりません。解説看板には右のイラストがありました。

壁画009…犬と鷹

　貯水槽のある中庭です。正面の壁には、左に犬、中央と右に鷲がいます。

　吠える犬は、足の指が5本であり、横顔なので、人間の可能性があります。全身の模様は、ネット・ジャガー表現の別バージョンかもしれません。正面を向いた鷲は神です。

　中庭の左右の壁の手前下部です。左壁は犬、右壁は鷲です。だけど正面中央には鷲、という位置付けです。

　次は祭壇のある中庭です。四方から列柱神殿に囲まれています。

　中央の祭壇は、タルー（傾斜）のないタブレロ様式です。西面に階段。四方の壁画は異なります。北から見ています。

壁画010…緑のトラロック神（別名：翡翠の女王）…柱廊11…西暦350年〜550年

　補強のパイプの位置に、かつては2本の柱がありました。その向こうは漆喰床で、さらに奥に緑のトラロック壁画があります。

　向かって左の壁下部にほとんど同様の緑のトラロックが並んでいます。

　広げた両手から水流が流れ、水流に挟まれて、あるいはその中に様々な物が書き込んであります。一本ずつ見てみると、内容が結構異なります。

　下は、戸口を挟んだ右側です。

　水流8本の中身が微妙に異なります。断片的に左右の壁にも緑のトラロックがありますから、もしかしたら、全ての水流が描き分けられていたのかもしれません。

壁画011…建築図…柱廊9

　北側の柱廊です。4つの神殿の中で、最も基壇が低い。意匠は建築物の正面図ですが、壁画01とは全く異なります。

　中央下部のアルメナらしき図やその上の列柱らしき空間は、どことなく、〔羽毛の蝶の神殿〕の中庭を連想させます。

　直線であるべきラインがちょっとひしげています。裏地の漆喰が歪んだから、という訳ではなさそうです。テオティワカンで最も稚拙な壁画だと感じられます。

壁画12…玉座に座り、心臓を喰らうジャガー…柱廊13

　肌に斑点はありませんが、ジャガーでしょう。口の前に心臓が2 個あり、バキバキと齧っています。牙、歯、爪の白色がまだ鮮やかです。腹の下にはベンチ様の台があり、マヤ文化でよく見かける玉座に似ています。

柱廊14

　二人が立っている場所が、柱廊14です。壁画は見当たりません。他の3つの柱廊に対して、かなり高い位置にあります。

部屋14の東側の部屋

　壁画がなかったはずはないのですが、ほぼ消失していたのでしょう。中に、貯水槽がわかります。

　テティトゥラには他にいくつもの壁画が報告されています。しかしその部屋が立ち入り禁止になっていたり、観光通路から死角になっていたり、私が見落としていたりして、実物の写真は掲載できません。